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美しい星

美しい星 (新潮文庫)

美しい星 (新潮文庫)

三島がまさかのSFか!と読み始めて、これ藤和エリオとか
出てきちゃったりする?(^O^)と読みすすめていったら
やっぱりちゃんと三島だったという。SFなのに純文学という不思議。
SFという形を借りた人間批判、シニカルな目線。

彼は又たとえば、鋏の形について永いこと考えていたことがある。ひろげられた鋏は、一つの支点を中心にして末ひろがりに対蹠的な空間を形成し、人の手中にありながら容易に世界を二分して、おのおのの空間にその方角の山や湖や都会や海までも包摂するのに、ひとたび鋭い金属的な音を立ててそれが閉じられると、広大な世界は死に絶えて、切り取られた一枚の白紙と、奇怪な嘴のような器具の形と、それだけしか残さない。

本編とは関係がないところなのですが、
鋏に関するこれだけの文章の美しさに惚れ惚れしてしまいました。
あまりに面白かったので近い年代に書いている「午後の曳航」も購入しましたっ